展示を制作するにあたって、まずは、その空間を表現できる一言の動詞をイメージしてみる、ということを提案します。「感覚軸」による分類は、そうしたイメージから具体的な展示手法を参照してもらえるようなものとして想定されています。
通常そこにないはずのものを移管することで、非日常としての展示空間を演出する手法。
元の空間に別の何かをかぶせることで、その空間に別の意味を与える手法。
マンガのページを大きく引き伸ばして展示するなど、元のサイズを変えることで、そこに注目させたり、特別な意味を与えたりする手法。
一般的には現実世界よりも小さなサイズで描かれるマンガの世界を“原寸大”にして展示することで、現実世界とマンガ世界の境界線が外れたように感じさせる手法。
展示物にプロジェクターで画像を投写するなど、ひとつの面に複数のイメージを同時に提示する手法
床面と水平に並べるものと思われている額を斜めにかけるなど、一般的なデザイン感覚からズレた展示を演出することで、その部分に特別な意味を与える手法。
視覚を遮断することで、他の感覚を鋭敏にすることができる手法。
展覧会体験において通常意識されない「手」の感覚に注目した手法。「立体化」と組み合わせることで、“異世界”としてのマンガ世界を現実とつなげることもできる。
ひとつの展示空間に、複数の要素を混在させる際に採られる手法
ある仕切られた空間に展示物を収める手法。空間的に仕切ることで、そこに意識を向かせると同時に、異なる意味があることを表現できる。
本来別々に存在していたものを併置することで、そこにある共通性や差異を明らかにする手法。マンガ文化の特徴である「物量」を示す際にもしばしば採用される。
離れた別々の空間やモノ同士につながりを持たせる。
通常床に置かれるものを、(床面と空間を空けた上で)天井などからぶら下げることで、天地の空間(≒天井高)を意識させる手法。
光を当てることで、その部分に意識を集中させる手法。展示物の鑑賞に没入させるだけなく、動線を示すこともできる。
一般的なデザイン感覚や生活感覚では過剰と思われる違和感を与えることで、その部分に意識を集中させる手法。
通常床とは水平的にしか置かれないものを、壁や天井などに、重力に逆らった形で展示する手法。
書籍形態の資料の中身を見せる形で展示する。特定のページに意味を持たせることができる。
展覧会体験において通常意識されない「足」の感覚に注目した手法。踏んではいけないとされるものを踏ませることで、常識的価値観を再考させる効果も。
一般の展覧会で作られる「動線」をあえて混乱させることで、展覧会場を「歩く」という、通常のマンガ読書体験では得られない感覚を意識した手法。
作品のキャラクターをフィギュア化するなど、元来2次元表現であるマンガ作品を、3次元表現としての展覧会空間に配置する際にしばしば採られる手法。