2015年総評

進撃の巨人
2014年11月28日(金)~2015年1月25日(日)
上野の森美術館
ほか

連載完結記念 岸本斉史 NARUTO-ナルト-展
2015年4月25日(土) ~ 6月28日(日)
森アーツセンターギャラリー
ほか

ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム展
2015年6月24日(水)~8月31日(月)
国立新美術館
ほか

『描く!』マンガ展~名作を生む画技に迫る――描線・コマ・キャラ~
2015年8月1日(土)~9月23日(水)
大分県立美術館
ほか

今年も数多くのマンガ展が開催された。
去年末から全国を回った「進撃の巨人展」と「NARUTO-ナルト-展」は、人気絶頂のキラーコンテンツを、出版社自身が、より大きくすることを目的とした大原画展。「進撃展」の方は写真撮影もできたが、多くの来場者は、作者コメント付きの貴重な原画をじっくり鑑賞するよりも、お気に入りのキャラの撮影に必死で、何か新しいものを観たり知ったりするためではなく、自分が作品のファンであることを確認するために展覧会場に足を運んでいるように見えた。

国立新美術館主催の「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム展」は、国がマンガ文化を公的に支援していることは示したが、従来のマンガ研究がほとんど参照されておらず、マンガ文化の新しい観方を提示するには至っていなかった。一方、大分県立美術館等で開催の「描く!マンガ展」は、監修のマンガ研究者・伊藤剛による新しいマンガ史観が提示されたという意味で、美術館らしいマンガ展だったと言えるだろう。

[初出=2015年12月25日『朝日新聞』(大阪版)夕刊「いまどきマンガ塾」]